魔人ブウとの戦いが終わり、世の中はお〜むね平和になった そんなある日 「悟空さ〜ちょっと来てみろ〜」 のどかなパオズ山にその知らせは突然訪れた 「ブルマさんとベジータさん結婚するんだってよ。」 チチの手にあるのは今朝届いたばかりの結婚式の招待状だ 「へ〜そういや結婚してなかったっけな」 悟空も少し驚いた顔をしている 「ブルマさんちお金持ちだからな〜きっと素敵な式になるだぞ。」 ロマンティックな空気をまといチチはうっとりとしている 悟空はというと 「あいつがあんな服着て…ぷぷぷ。」 自分たちの結婚式を思い出し、ベジータがタキシードを着ているのを想像して笑っていた 「そうとなったら早速準備しなければなんねえぞ。悟空さの服は買いに行かなきゃなんねえな。まったく胴着はいっぱいあんのに…大人として間違ってるべ。」 そうは言いながらとても嬉しそうだ 悟空も違う理由で楽しそうにしている 「悟飯〜悟天〜町に買い物に行くだぞ。」 珍しく孫家が1つになろうとしていた 結婚式当日 あまり大きくないおしゃれな教会にはZ戦士が集結していた ピッコロや天津飯餃子コンビまでいる 「天津飯来たんだ。修行してるから来ないって言うと思ったぜ。」 「面白いものが見られるから来いって言ったのはおまえだぞ。」 どうやらヤムチャが呼んだらしい 「しかし、いいのか?その…昔付き合ってたんだろう?」 「え?大丈夫大丈夫。もう遠い昔のことだ。」 無理に明るくしてるようにも見えなくはない… 同じくピッコロは悟飯が呼んだようだ その悟飯のとなりにいるのはビーデル 「ねえ、私だけでよかったのかな。招待状にはパパの名前もあったのに。」 「サタンさんどうしたんですか?」 「なんかおびえてたわよ。私にも行かないほうがいいって。」 ああベジータさんが怖いんだ、と悟飯は読んだ 「ビーデルさんはブルマさんとも仲いいし、大丈夫ですよ。」 式が始まり牧師とともに登場したベジータ 純白のタキシードをきちんと着こなしている 仏頂面は相変わらずだ 初めてみるその姿に一同は驚いた もっとも、それを見たくて来たものもいたが そして音楽が流れブルマがブリーフ博士とともにバージンロードを歩く その姿は一児の母とは思えないほど若く美しかった ドレスも美しくマーメイドラインがブルマのスタイルを引き立てていた ベジータもその姿に見とれたが一同の存在を思い出し 『見世物じゃないんだぞ!!』 という気持ちでいっぱいだった おかげで牧師の話をほとんど聞いちゃいなかった ふと気がつくとブルマが怖い顔で睨んできた 「ちょっと!話聞いてるの?」 なんのことかちんぷんかんぷんなベジータ 牧師は困った顔をしながら眼鏡を直した 「愛を誓うか?って言ってるの!」 「誓うか!!そんなも…」 ぎろりと睨まれて小さな声で「誓ってやる」と言った 指輪の交換もおとなしく従った もう、どうにでもしてくれとベジータは思った (もう少しだ…さっさと終わりやがれ) そんな時 「では、誓いのキスを。」 (ハア!?キスだと!ん?こいつ…) 「もうベジータこっち向いて。」 むりやり顔を向けさせベジータの唇にキスをする もともとブルマの方が背が高かったがハイヒールのおかげでさらに身長差ができていた 「な…」 一瞬あっけにとられたが、すぐに参列者の方を向き 「お前ら〜見てるんじゃねえ!!」 思いっきり叫んだ そして手にエネルギーを貯めはじめ 「おまえもだ!!」 予想に反して牧師に向けて攻撃した まともに顔にくらって吹っ飛んだ 「やばい!牧師さんが!!」 「絶対死んだよな…」 クリリンとヤムチャが汗を流しながら言った ビーデルは顔面蒼白だ しかしベジータが 「早く起きろ!バカめ。」 と言うと、なんと牧師は「いたた…」と起き上がった 割れてしまった眼鏡をはずし、焦げてしまったひげも取り去った その顔はこの場にいたほとんどの人が知っているものだった 「ひゃ〜トランクスだったのか〜」 そう、未来から来たもう一人のトランクスだったのだ 「なんでわかったんですか?」 「気を消した一般人がいるか!」 「う…気でバレると思って。」 「そもそも声でわかるわ!!」 自分の変装があっさり見破られてショックなトランクス しゃがんでイジイジしている 「もうバレちゃったか。」 仕組んだのはブルマだったのだ 「トランクス〜」 小さいほうのトランクスに言う 「もうすぐ誕生日よね。プレゼントのお兄ちゃんよ〜!」 「ホント!?わーいママすごい!!」 「オレ、プレゼントだったんですか!?」 いろいろツッコミを入れるところもありそうだが 喜んでいるチビくんには関係ないことだった 「それにしてもオレ本物の牧師じゃないんですけど、いいんですか?」 「そうね〜じゃデンデくんにでも誓いましょうか。」 (「でも」って…母さんて結構適当だよな) それからみんな外に出てきた 「これってなにすんだ?」 「新郎新婦にお米をかけて祝福すんだ。」 「へ〜」 仲間たちに祝福されて幸せな二人 だったのだが 「鬼は〜そと!福は〜うち!」 ビシッビシッ! ベジータの顔をお米が襲う 悟空はうれしそ〜にお米を投げつけている (こ、このやろう) ベジータは一発殴りたかったのだが ブルマに睨まれたので、それはやめにした 「…カカロット、節分はまだ先だ。」 必死に笑顔を作ったが、かなり怖い顔だ 「ブーケ投げるわよ〜」 乙女の大イベント『花嫁のブーケキャッチ!』だ 時としてそれは死闘を巻き起こす しかし、ここにはビーデル以外敵はいない 密かに悟飯を想うビーデルはこれを逃す手はない 高く投げられたブーケはもう目の前だ! しかし シャッ!! 目の前を見えないほどの速さでなにかが通った シュタッと地面に降りたのは悟飯だった (そんな、悟飯くんたら…やっぱり私のこと…キャッ(ハァト)でもそれは女の子が貰うものなのよ) ひとりでモジモジしながらそんなことを考えていた てっきり自分のために取ってくれたと思っていたのだが その考えはあっさり否定される 「トランクスさん…これを…」 「え?えっ!?」 トランクスも困惑中 (な、なによそれ!!) いい感じ(に見えるらしい)になっている二人を見て怒りに燃えるビーデル 悲しくもビーデルの乙女イベントは終了した 「あ、そうだお姫様抱っこで車まで行こうと思ってたのよ。」 ブルマの提案に恥ずかしさ全開のベジータ どうもギャラリーが気になってしかたがないが今日だけはブルマの思い通りしたい 後が怖いから ブルマを抱き上げ… 一瞬にして車に移動した 「ちょっと!早すぎるわよ!!」 「オレは言うとおりにしたぞ!」 無事に(?)式は終了した 早く今日が終わってくれとベジータは思った かなりぐったりな気分で披露宴会場に向かった(運転はブルマ) 披露宴会場にはマスコミも集まっていた カプセルコーポレーションの娘の結婚ともなればそれも納得 悟飯にとって嬉しい事態となったトランクスの来訪にすっかりべったりだ トランクスは牧師の格好からスーツに着替えて、長い髪は後ろで束ねた姿だ 悟天とトランクスはというと 「トランクスくんいいな〜お兄ちゃんがプレゼントなんて。」 「言ってみるもんだよな。絶対無理だと思ってたもん。」 「ホントそっくりだね。」 「悟天だって悟天のパパとそっくりだもん。」 特に不審には思ってないようだ 電気が消えて二人が登場した 天井の穴から… マスコミの度肝を抜いた演出だ! 「ゴンドラなんかいらないわよ。」 各テーブルにろうそくの火を灯す 「それでは披露宴を始めます。司会は私ヤムチャがお送りいたします。」 ど派手な衣装がまぶしい 「まずは新郎新婦の経歴紹介です。新郎ベジータは惑星ベジータで王子として生を受けました。 はじめて会ったときは地球を侵略するためにやってきた敵でした。 ここにいる人たちの一部も戦いに参加しました。 かくいう私もそこで命を落とした一人であります」 会場内の空気は一気に冷えた 「新郎のおかげでナメック星ではフリーザと戦ったり、セルを完全体にしてしまったり、魔人ブウを復活させてしまったり…」 スクリーンには戦いの写真が映し出されている 「いつ撮ったんだ!?こんな写真。」 「写真提供は餃子さんの念写でした。」 「…」 「新婦提供の写真もございますが…」 映し出された一家の写真 ピンクシャツのベジータ(不満な表情) ベジータに抱っこされている赤ちゃんトランクス(泣き) 文句を言っているのらしいブルマ 他人のふりしてる大きいトランクス 「あはは!ピンクシャツだ〜」 「カカロットうるさいぞ!おいブルマなんだこの写真は!?」 「だって家族の写真これしかないんだもん。これ以来撮らせてくれないじゃない。」 (これだってオレは知らないぞ…こんなことなら…) 暗い雰囲気を見事に盛り上げたヤムチャだった ブルマの紹介では途中司会が泣き出すというエピソードも見せた 写真は多かったがヤムチャとの2ショットも多くベジータに睨まれた 「続いては新郎のお父様のあいさつです。」 「え〜このたびは皆様にお集まりいただき、まことにありがとうございます。 あんなに小さかったわが子ベジータがこんなにも立派になって…」 「なんで貴様がいるんだーーーー!」 目を潤ませているベジータ王につかみかかるベジータ 「さっさと地獄に帰れ!!」 ちゃっかりと席についているベジータ王 帰る様子はない 「それではケーキカットです!初の共同作業ではなさそうですが、どうぞ〜」 ケーキが運ばれてくる 一段でもかなり大きいケーキが三段にもなっている いろんな果物が彩りを与えている 「あとでみんな食べてね〜」 子供たちはワクワクだ 「これを切ればいいんだな?」 「は?一緒にやるのよ!」 一刀両断やる気満々なベジータを阻止する 「次は…子供たちの出し物ですね。悟天くんトランクスくんどうぞ!」 ピンスポットに現れたのはなんとゴテンクスだった 「今日はオレのためにみんなありがとーー!早速歌わせてもらう一曲目は『胸にずんどこアイラヴューン!』」 マイクを握りかっこいいと思っているポーズをとる 「ぜ」ズガーン!! 放っておくと延々続きそうなステージはベジータに攻撃され一瞬で終わった 担架で運ばれるゴテンクス 「続いては友人からの電報です。新郎の友人ナッパさんから届いた電報を読み上げます。」 「なんでナッパから電報が届くんだよ!!」 数名は「誰だっけ?」と思ったが 『あのベジータが結婚とは…地獄でも多くの人が驚いている。 ギニュー特戦隊なんか祝いのダンスを踊っている。 見せてやれないのが残念だ。 オレはお前に殺されたが、別に恨んじゃいない。 散々いじめられたラディッツも同じ気持ちだ。 寝てるとき気をつけろ、なんて言わないから安心しろ。』 半分脅しとも取れる内容だが、サイヤ人の間では普通なのかな?と一同は思った。 お気づきだとは思うが、マスコミはとっくに置いてけぼりになっている みんな食事を始める さすがブルマのコーディネイトと言うべきか、料理はどれも一流だ 悟空はそんなこと気にするはずもなく ただひたすら食べている 巨大なウエディングケーキもみんなに分けられる いつのまにか復活した子供たちもご満悦だ それぞれの帰り道 「いや〜無事に済んでよかっただべ。あのメンバーが集まったらただじゃ済まねえと思ってただよ。 それにしてもきれいだったな〜。オラたちのも思いだすべ。」 「ああ、料理うめーし楽しかったな。」 「あたしたちようやく結婚したのね。」 「別になにか変わるわけじゃない。」 「新婚旅行行く?」 「新婚なのか!?別にいいだろ。帰るぞ。」 ブルマは喜びに満ちた笑顔を向けた 甘い新婚雰囲気を漂わすと思われたが… いろいろツッコミ疲れて早く寝たいベジータだった |